Excel2007条件付き書式 互換性解析レポート2

FormatCondition Compatible Check Report On Excel2007

はじめに!
第1部では、従来バージョンで作成したブックをExcel2007バージョンで取り扱う場合の互換部分を説明しましたが、第2部は、その逆にExcel2007バージョンで作成したファイルを従来バージョン環境で使用すること前提にした、作業上の注意点や知得情報を中心に解説します。

第1部:「従来バージョン→Excel2007バージョン」の互換性
第2部:「Excel2007バージョン→従来バージョン」の互換性
の後半部分を解説します。
第3部:「Excel2007バージョンでの操作上の注意点」

第2部:「Excel2007バージョン→従来バージョン」の互換性

Excel2007バージョン側で、従来バージョン対応のファイル(XLSファイル)で保存すること、及び、従来バージョンには存在しない機能を使ってはならないことは当然ではありますが、新しく追加された「ルールの種類」の中でも従来バージョンに対応しているものがあります。
それらがファイルにどのように保存され、従来バージョンではどのように扱われるかを説明します。

Excel2007での「ルールの種類」
まず、Excel2007の「ルールの種類」(Type)を見てみましょう。
次の図は、リボンのメニューと見栄えは異なりますが、ルールの種類の集約形として覚えておくとよいでしょう。
「セルの値」は、従来バージョンの「セルの値が」と同じです。
「演算」(以降、「数式」と記述)は、従来バージョンの「数式が」と同じです。
なお、「列の比較」は使用できません。
設定画面の表示とXlFormatConditionType列挙の関連表を参照してください。

下位互換仕様?

1.「ルールの種類」の使い方に注意しよう!
「ルールの種類」(Typeの値)は、「Excel2007での設定時」「XLSファイル保存時」「従来バージョン読込時」で変わります。フローと表でルールの種類(Type)の変遷を説明します。
EXcel2007設定時 @XLSファイル保存時 AExcel97-2003読込時 BExcel2007再読込時
種類 Type 種類 Type 種類 Type 種類 Type
セルの値1 セルの値1 セルの値が1 セルの値1
数式2 数式2 数式が2 数式2
カラースケール3 カラースケール3  − − カラースケール3
データバー4 データバー4  − − データバー4
上位/下位5 上位/下位5 数式が2 上位/下位5
アイコンセット6 アイコンセット6  − − アイコンセット6
一意/重複8 一意/重複8 数式が2 一意/重複8
特定の文字列9 特定の文字列9 数式が2 特定の文字列9
空白10 空白10 数式が2 空白10
期間(日付)11 期間(日付)11 数式が2 期間(日付)11
平均以上/以下12 平均以上/以下12 数式が2 平均以上/以下12
空白なし13 空白なし13 数式が2 空白なし13
エラー16 エラー16 数式が2 エラー16
エラーなし17 エラーなし17 数式が2 エラーなし17

上の表でお分かりのようにXLSファイルでも全ての「ルールの種類」が保存できますが、従来バージョンではサポートされていない「カラースケール」「データバー」「アイコンセット」を使わないように意識して作業しましょう。
Excel97-2003のダイアログで表示される条件式の例
2.設定個数の制限を守りましょう!
従来バージョンには、一つのセル範囲について条件付き書式の設定個数が3個以内という制限がありますが、Excel2007でXLSファイル保存時にはその制限は適用されません。
従来バージョンで読込時に有効な設定(上の表のAの列の「セルの値が」と「数式が」)が優先順位の高い順に3個まで表示されます。
3.「条件を満足する場合停止」チェックオフ設定はしない!
Excel2007では、設定範囲が競合した場合、「条件を満足する場合停止」のチェックをオフにすることにより、各々の条件を有効にする設定が可能です。
従来バージョンには、この機能がありませんので、Excel2007の見栄えと変わって表示されてしまいます。

【例】:条件1で「奇数行のセルに背景色を設定」、条件2で「セルの値が100以上のセルの文字色を設定」というような場合、条件1の「条件を満足する場合停止」をオフに設定すると条件1が満足した場合も条件2が評価対象となります。

「条件を満足する場合停止」をチェックオフにしないような注意と検証が必要です。
4.表示形式は使わない!
Excel2007バージョンでは、新しく「表示形式」という機能が追加されました。XLSファイルで保存した場合もその設定は保持されています。
従来バージョンには、書式の設定の中に「表示形式」という機能が存在しませんので、作業中に意識して使わないよう注意しましょう。
5.互換性チェックの方法
Excel2007バージョンで、XLSファイルを指定して保存した場合、次のような「互換性チェック」画面が表示されます。「検索」をクリックすることで非互換部分のセル範囲を知ることができます。
また、「Office」ボタン→「配布準備」→「互換性チェック」で、事前に互換性を確認することも可能です。
「新しいシートにコピー」ボタンをクリックすると、問題点がシートに書き出され、リンクをクリックすると当該箇所へジャンプします。


互換性チェックを確実にするためには、従来バージョンで検証して見ることです。

互換性に関するMicrosoft提供のWebページ
但し、製品版以前の情報と思われる箇所がいくつか存在します。
6.その他
XLSファイルを従来バージョンでルールを編集しない限り、Excel2007での設定内容が保持されています。

設定画面の表示とXlFormatConditionType列挙の関連表

設定画面の例

(※ルールの種類によって、画面の下半分はデザインが異なります)
@
設定画面表示の
「ルールの種類」

A
ドロップダウン
リスト表示

XlFormatConditionType列挙の説明と値
セルの値 演算 カラ|スケ|ル デ|タバ| 上位の10の値 一意の値 アイコンセット テキスト文字列 空白の条件 期間 平均以上の条件 空白の条件なし エラ|の条件 エラ|の条件なし
1 2 3 4 5 6 8 9 10 11 12 13 16 17
指定の値を含むセルだけ書式設定 セルの値
特定の文字列
日付
空白
空白なし
エラー
エラーなし
セルの値に基づいて全てのセルを書式設定 2色スケール
3色スケール
データバー
アイコンセット
上位または下位に入る値だけを書式設定 上位
下位
平均より上または下の値だけ書式設定 より上
より下
以上
以下
より1標準偏差上
より1標準偏差下
より2標準偏差上
より2標準偏差下
より3標準偏差上
より3標準偏差下
一意の値または重複する値だけ書式設定 一意
重複
数式を使用して、書式設定するセルを決定

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